【日間1310位】妖精と交信出来るだけで聖女にされた私が国を去ったら 

pt:30 | 部分数:1 (短編) | 作者:天原 重音

《 あらすじ 》

R15は念の為です。
※誤字脱字報告ありがとうございます。

 産まれた時に髪色が黒檀を連想させる黒だった事から、エボニーと名付けられた少女に転生した菊理。
 エボニーはフェザーランド家の嫡女だが、記憶を取り戻した時は『母と一緒に毒を盛られて死にかけたが奇跡的に回復した』と言う、何が有ったと突っ込みたくなるような状況。
 しかもここは、妖精が見え、言葉が交わせるだけで聖女扱いされる世界だった。
 聖女だからと王太子と婚約させられたけど、髪と瞳の色を理由に初対面で嫌われた。更に父の再婚相手の平民の娘が『絵に描いたような性悪女』で、王太子の婚約者を狙い嘘泣き演技でエボニーを陥れようとする。
 婿入り父は馬鹿だった。その妻と娘も都合良く泣く馬鹿だった。
 王太子も凡人な馬鹿で、自称妹の嘘泣き演技に騙される始末。
 馬鹿はどうでも良い。聖女としての仕事が済んだら国を出ようと思っていたら、今度は聖女を自称し始めた。しかも『姉に虐められている』と金を使って噂を流し、自分が気に入らない貴族も尾ひれを付けて遊び出す。
 挙句の果てに王太子は、他国の使者の目の前で婚約破棄宣言をして剣を片手に襲い掛かる始末。
 無実は証明したが、次々と国交を断たれて国は窮地に立たされた。
 国難を乗り越えたのに、王子と自称聖女が原因で国家凋落の道を辿る事になる。

 国家凋落を招いたパーティーから一ヶ月後。
 全ての仕事とやるべき事が終わったので国から去ります。
 外見で聖女じゃないと罵った王都の住民なんてもう知りません。
 助けたのに自分を王太子の婚約者の座から引きずり下ろす為に『聖女じゃない』と罵った貴族も知らん。
 行動の遅い国王夫妻も知りません。
 調査もせずに嘘を事実と思い込み、冤罪で処刑を企む馬鹿王子も知らん。
 去る事で国が滅びようとも、もう知らない。
 私は一人で旅に出る。